岐阜県飛騨市・菅沼さん

2007年3月築

岐阜県飛騨市・菅沼さん

木目は年月がつくり出した豊かな表情、
木肌は自然が育んだやさしい命、
そんなぬくもりのある木が大好きです。
だから私たちは、
木の家に暮らしています。

設計ファイル

連続した空間でOMの暖気を均等に回す工夫を。

南北に奥行のある敷地に建てられた2階建ての店舗兼住宅の菅沼さんのOMソーラーの家。1階は通りに面して奥様が経営する美容室、奥に寝室、2階はリビングダイニングと子ども部屋になっています。

1階の店舗の美容室はOMの対象外とし、床下の暖気は壁の間の空間から2 階へ上げています。店舗以外の空間は扉を設けないなど連続した空間になっていて、OMの暖気を均等に回す工夫がなされています。

リビングのテーブルは座面に畳を敷いて、掘り炬燵風に足を伸ばして座れるようになっています。奥様の希望でつくられた白いタイル張りのキッチンは、座っている家族と視線が同じようになるよう床面より一段低くしています。

建物概要

岐阜県飛騨市・菅沼さんの家平面図

岐阜県飛騨市・菅沼さんの家平面図
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2階はオープンな空間にすることでOMの暖気を均等に行き渡らせている。

2階はオープンな空間にすることでOMの暖気を均等に行き渡らせている。

キッチンの床は一段下げてリビングと目線を合わせるよう工夫。

キッチンの床は一段下げてリビングと目線を合わせるよう工夫。

自宅一階部分の美容院。

自宅一階部分の美容院。

家づくりと暮らし

お店で洗髪に使うお湯までOMで賄えるんです。

記念におはじきと手形を塗りこんだ子ども部屋の壁。記念におはじきと手形を塗りこんだ子ども部屋の壁。

岐阜県の最北端に位置する飛騨市。奈良時代から都の造営に関わってきた「飛騨の匠」の技が、今もなお受け継がれている土地柄です。また市の面積の多くを山林が占め、「木の国、飛騨」とも呼ばれ、家具店やクラフト作品を扱う店も多く見られます。

そうした環境で育ったからでしょうか。菅沼智巳さんは「木が大好きで、特に木工製品を見るのが楽しい」のだといいます。そして双子の息子さんが生まれると、「木へん」の漢字を使いたいと、「椋(むく)」と「朴(なお)」と名づけました。

キッチン横の書斎机には「朴」の木が使われている。キッチン横の書斎机には「朴」の木が使われている。玄関の下駄箱の天板には「椋」の木が使われている。玄関の下駄箱の天板には「椋」の木が使われている。

そんな菅沼さんの家づくりは、息子さんの小学校入学に合わせて計画されました。建てる場所は智巳さんのご実家の敷地内で、小学校のすぐそばです。家づくり最初の工程として菅沼さんがしたことは、工務店毎に開かれる完成披露の見学会を見て回ることでした。というのも、この辺りの家づくりは地元の大工さんや工務店によるものが一般的で、ハウスメーカーのモデルハウスが並ぶ住宅展示場というものがないのです。

3年ほど時間をかけ、じっくり見学会を見て歩きました。その結果、最初はどういう家にしたいのか、はっきりしていなかった菅沼さんも、次第に希望する家の輪郭が明確になり、「木の家で、柱や梁を隠さず見せる古民家風の家」に惹かれることが分かりました。

そうした菅沼さんの希望に添った家づくりをする工務店は絞られていき、最終的に残ったのが、OMソーラーの会員工務店でした。モデルハウスを紹介するチラシがきっかけで、その工務店のことを知った菅沼さんは、そこで初めてOMソーラーのことを知るのです。

ロフトのあるリビングは天井板を張らず梁を見せている。寝転んで梁を見るのが好きだとご主人は言う。
ロフトのあるリビングは天井板を張らず梁を見せている。寝転んで梁を見るのが好きだとご主人は言う。

「OMの家って真冬なのに暖かい」。そう感じた菅沼さんでしたが、「モデルハウスの吹き抜けや空間の取り方、質感など、他とは違った、何か惹かれるものがありました」と、OMソーラーの効果というよりも、その工務店の家づくり職人としての手腕やセンスに、より魅力を感じたのだといいます。

飛騨は盆地で夏は暑く冬は東北地方と同等量の雪が降る寒さの厳しい気候で、自然の力に頼るOMソーラーには過剰な期待は出来ないのでは、というところが菅沼さんの本音だったかもしれません。しかしその後もその工務店の見学会に足繁く通い、工務店の手腕にますます惹かれていくとともに、「ここなら自分たちの思いをきちんと叶えてくれる」と確信するに至り、家づくりを任せることに決めます。そして「せっかくこの工務店にお願いするのなら、OMの家にしよう」、とOMソーラーを導入した家を選択するのです。

「寒い日でも屋根に太陽があたっていれば暖かですよ。」 

奥様のこだわりで採用した白いタイルのキッチン。照明もネットで取り寄せたもの。奥様のこだわりで採用した白いタイルのキッチン。照明もネットで取り寄せたもの。

ご主人の希望で一段ずつ違う板が使われている階段。感触もそれぞれ違う。
ご主人の希望で一段ずつ違う板が使われている階段。感触もそれぞれ違う。

ご実家の敷地の道路に面した部分に建てられた菅沼さんのOMソーラーの家は、1階に美容師の奥様、明美さんの長年の夢だった美容室、そして2階にリビングダイニングと子ども部屋という店舗兼住宅の木造2階建ての家です。

自分の店を持ちたいという明美さんの夢を叶えた菅沼さんのOMソーラーの家は、「木が大好き」という智巳さんの夢も叶えた家でもあります。地元の材はもちろんのこと、智巳さんがネットで取り寄せたり、工務店に頼んだりして集めた様々な種類の材が、家のあちこちにふんだんに使われています。

双子の息子さんの「椋」くんと「朴」くん。
双子の息子さんの「椋」くんと「朴」くん。

「階段の板は一段ずつすべて違う材にしました。最初は子どもの名前の椋や朴の木を使おうと思ったのですが、工務店の社長さんに『子どもの名前と同じ木を足で踏むのは良くないのでは』と助言され、別の材を使いました。その代わり、椋の木は下駄箱の天板に、朴の木は机の天板に使ってもらいました」と智巳さん。年月を経る毎に種類によって様々に表情を変える木目やその手触りを、満足そうに楽しんでいます。

また天井には板を張らず、太い立派な梁を通して時を経た感じを出すよう色を施し、壁も刻んだ藁を入れた珪藻土を塗り、古民家風の雰囲気を醸し出しています。「左官屋さんに塗り方を教えてもらい、家族みんなで塗りました」と、子ども部屋の壁にはおはじきを埋めたり子どもたちの小さな手形を押したりと、思い出もたくさん盛り込みました。

1階の美容室は落ち着いた配色と藁を混ぜた珪藻土の壁で古民家風の雰囲気を演出。
1階の美容室は落ち着いた配色と藁を混ぜた珪藻土の壁で古民家風の雰囲気を演出。

1階が美容室となる店舗兼住宅のOMソーラーの菅沼邸は、屋根で集熱した空気は1階の床下に畜熱されますが、髪の毛を扱う仕事場という事情もあり、美容室はOMの対象外として吹き出し口は設けていません。代わりに壁の間のスペースを使って床下の暖気を2階へ上げ、リビングダイニングと子ども部屋のある2階をつながりのある空間とすることで、OMの暖気を均等に回す工夫がなされています。

杉の床材が使われたロフトのある2階の子ども部屋。
杉の床材が使われたロフトのある2階の子ども部屋。
コンクールで入賞した椋くんと朴くんの木工作品。完成度が高い。コンクールで入賞した椋くんと朴くんの木工作品。完成度が高い。

「こういう土地ですから、OMソーラーの暖房に過剰な期待はしていませんでしたが、寒い日でも、屋根に太陽があたっていればOMが駆動していて、外から帰ると家の中は大分暖かですよ」と明美さん。OMの対象外とした店舗部分も、吹き出し口はないものの「床下からの熱が伝わってほんのりと暖かく、家全体に温度のムラが少ないのが嬉しい」とのこと。さらに、「夏場のお湯採りは家のお風呂だけでなく、お店で洗髪する時に使うお湯も全部OMで賄えてしまうのですごく助かります」と、お湯採りの方でもOMソーラーの機能をフルに活用されているようです。

長い年月をかけて磨かれてきた匠の技は、自然エネルギーをシステムとして家づくりに活かすOMソーラーという環境共生技術を加え、確かな輝きとともに息づいています。

「工務店さんにはいろいろわがままを聞いていただき、おかげで思い通りの家ができました」という菅沼さん。たくさんの思いが詰まったこの家で、子どもたちが椋の木のように大きく、朴の木のように素直に、成長していくのを楽しみにしています。