静岡県富士宮市・杉本さん

2007年12月築

じっくりと時間をかけて、熟成させた家づくりへの思い。
この家は私たちの生き方を、鏡のように映し出しています。

設計ファイル

将来を見越して土間から2つの入り口を設ける。

写真:杉本さん宅外観 写真:リビング

富士ヒノキや県内産の杉、砂漆喰、大谷石など自然素材がふんだんに使われた杉本さんのOMソーラーの家。居間の上を吹き抜けにした二階建てのコンパクトなつくりですが、家の隅々にまで大工をはじめとした職人の丁寧な手仕事のあとが窺えます。

玄関土間には靴箱を兼ねた大きな収納が設けられています。また土間からは居間への入り口と、和室への入り口の2つの入り口が設けられています。居間の南側の大きなピクチャーウィンドウは冬季にはたっぷりと日差しを取り入れ、夏季は鍵のかかる通風雨戸により風通しを良くしています。

建物概要

  • 在来木造2階建て
  • 敷地面積:209.63平米
  • 延床面積:100.93平米(1階床面積60.82平米 2階床面積40.11平米)


静岡県富士宮市・杉本さんの家平面図(クリックで拡大)

写真:南側デッキ 写真:玄関の壁
【左】軒の掛かった南側のデッキは居間の延長でもある。
【右】丁寧な手仕事による曲線的な玄関の砂漆喰の壁。

写真:浴室 写真:照明灯・表札
【左】ヒノキ材が使われている浴室。
【右】玄関の照明灯と表札は鍛造作家の作品。

家づくりと暮らし

OMソーラーの家を望んだのではなく、望んだ家がOMソーラーの家だったのです。

写真:リビングルームに集まるご家族味わいのある大きな梁の架かる吹き抜けのリビング。

富士山の西南麓に位置する静岡県富士宮市。裾野という地形特有の、南に向かって緩やかに傾斜した閑静な住宅地に建つのが、杉本さんのOMソーラーの家です。

杉本さんのお宅は、ご主人の篤俊さん、奥様の由加里さん、息子の匠くんの3人家族。ご家族の想いやこだわりが随所に散りばめられているOMソーラーの家は、趣のある鍛造製の照明灯と表札が迎える玄関を入ると大谷石が敷かれた広い土間があります。その壁には白い砂漆喰が塗られ、曲線になった部分に玄関横の窓から朝日が当たると、反射してとても美しいのだとか。

土間には居間と奥の和室へと、2つの上がり口があります。これはお茶や生け花の師範である由加里さんが、将来和室を教室として使う場合、居間を通らずに和室へ上がれるよう設けられたものです。

居間は吹き抜けで、どっしりとした味わいのある大きな梁が渡り、一人息子の匠くんの大好きなブランコが架けられています。居間から2階へと上がる階段も玄関の照明灯同様に鍛造作家の作品で、素朴な鉄の風合いが手づくりの温もりを伝えています。2階は吹き抜けを囲むように子ども部屋と寝室、パソコンが置かれた学習コーナーが配置され、吹き抜けを介して1階と2階が連続した空間になっています。キッチン収納や洗面コーナーなどは、ご夫妻が遠くまで足を運んで選りすぐってきたものが使われていて、ご夫妻のセンスと家づくりに掛ける想いが窺われます。

写真:学習コーナー パソコンが並ぶ2階の学習コーナー。

杉本さんのOMソーラーの家が建ったのは、2007年12月のことですが、社宅を出て家を建てようと計画したのは、それから遡ること5年も前のことだったといいます。家づくりを計画したものの、最初は具体的なカタチが掴めていなかったという杉本さん。ただ、「自分たちの思いがカタチとなった家であること」だけは譲れない条件とし、建てる家が決められてしまう条件付きの土地は除外としていたため、土地が決まるまでに2年も要してしまいました。

また建てる家については、「住宅展示場を含め、この地域の住宅会社はたくさん行きました。新しい家はもちろん、古い家もたくさん見て回りました」といい、そうしていくうちに、「自分たちが望んでいるのはオリジナリティが表現できる家、そして昔ながらの木や石など自然素材を使った日本的な家だということが、次第にはっきりとしてきました」と杉本さん。

しかし目標が定まったものの、「どこの住宅会社でも自由にできるとはいうのですが、いくつかのパターンの中から選ぶだけで、それから外れるとすごくコストがかかってしまう」という現状が目の前に立ちふさがり、さらに「家が消費財のように扱われる」ことに納得しかねて、なかなか踏ん切りがつきません。気が付けば土地を取得してさらに2年が経過していました。

そんなある日のことでした。ご家族でお蕎麦屋さんに出かけた際、杉本さんは、その近くに以前には見かけなかった家が建っているのを見つけます。土壁の感じといい、「雰囲気がいいよね」と、その家の周りをぐるぐると見て回ったという杉本さん。その後でお蕎麦屋さんに入ると、なぜかその家の写真が載ったリーフレットが置かれていたのです。

杉本さんは、そのリーフレットから、その家がOMソーラー会員工務店の社長の自邸で、モデルハウスを兼ねていることを知ります。そこで「モデルハウスならば」、と中を見せてもらうと、その家は杉本さんが長い間熟成させていた思いを、具現化した家だったというのです。

写真:階段 写真:洗面コーナー
【左】素朴な風合いの鍛造作家による階段。
【右】ご夫妻で何度も足を運んで選んだ2階の洗面コーナー。

この家は、私たち家族のためだけのオリジナルの家です。

「私たちが求めていたものと工務店が提案してくるものと、ほとんどズレがありませんでした。それどころかこちらが求めているものを、さらに発展させた提案を出してくれました」と、それからというもの「今まで長い時間を費やしていたのが嘘みたい」に、どんどん話は進んでいきます。

高価とされる桧さえも、「『節があっても構いませんか』と聞かれたので、『全然気にしません』と言ったら、リーズナブルなコストで採用することができました。私たちからすれば、節がない方がむしろ不自然なのですから」と、篤俊さんは桧の床をいとおしげに見つめます。

杉本さんは初めからOMソーラーの家を望んでいたのではありません。望んでいた家が、OMソーラーの家だったのです。「OMについては情報として知っていましたし、近くで別の工務店による見学会があった時に出かけていき、なるほど暖かいなということは感じていました」という杉本さんですが、その見学会では決定までには至りませんでした。

写真:ベランダから見える富士山 写真:キッチン
【左】2階のベランダからは富士山が見える。
【右】一つ一つ丁寧に選んだパーツを組み立てたお気に入りのキッチン。

OMソーラーの会員工務店は、全国でその地域の気象条件や土地柄に加え、その工務店の特色を生かした家づくりをそれぞれ展開しています。大手の住宅メーカーのように画一的な家ではなく、各工務店の個性に加え、その住まい手の暮らし方、生き方に添った家づくりがなされるため、二つとして同じ家はないのです。ですから杉本さんの場合も、見学会の家よりも、蕎麦屋近くの工務店社長の自邸の方が、より感性に近かったのでしょう。

「自分たちの思いをカタチにした家を」と掲げられた杉本さんの理想は、5年という歳月を経て、OMソーラーの家というカタチに結実しました。工務店は杉本さんの期待を裏切ることなく、思いを反映させた家をしっかりとカタチにしてくれました。この家はほかの誰の家でもない、杉本さんご家族が「こういうふうに暮らしたい」という思いを表現した、杉本さんご家族のためだけの家なのです。

OMソーラーの家に暮らして1年。「それまで暖房をがんがん掛けた生活でしたから、最初の冬はちょっと物足りない感じもしましたけど、身体が慣れてきたのでしょうか、今年はすごく暖かいなと感じます。夏もエアコンなしで過ごせましたし」。長年温めてきた思いが叶った家で暮らす日々の中で、自分たちのそうした変化一つひとつさえも、楽しげに受け止める杉本さんご家族です。

写真:和室 写真:子ども部屋
【左】炉壇を配置した1階の和室。
【右】2階の子ども部屋で遊ぶ匠くん。