茨城県真壁郡・黒田さん
2000年9月築
この家を生活の器に、自然とともに暮らしていきたい。
設計ファイル
家全体をひとつの箱と考え、階段を暖気の通り道と仕切りの役目に。

80坪ほどの敷地に、道路から45度ほど振って南向きに建てられた黒田さんのフォルクスAの家は、家全体をひとつの箱と考えています。家の中央に配した階段は、OMで暖められた空気の通り道であり、部屋の仕切りにもなっていて、どこにいても家族の気配が感じられるような造りとなっています。
608(奥行6m×間口8m)をベースに、下屋部分に和室を設けています。2階は東側の部屋を子ども部屋とし、将来仕切る必要が生じた時には家具等で仕切れるよう考えられています。また、西側の部屋(寝室)は階段に明るさをと、階段側の壁上部を取り払いました。必要が生じた時には、また壁が設けられるよう、配慮されています。台所は独立型に。家の中の扉は玄関ドア以外を、すべて引き戸としています。

【左】一枠ずつ互い違いに障子紙が貼られている。裏表ができないようにとの一工夫。
【右】空気の通り道である階段。南側は、光を取り込み上下に開閉もできる雪見障子式に。

【左】障子を使った照明は、やわらかな光で和室を包む。
【右】1階居間の照明。フォルクスAのシンプルなフォルム・素材によく似合う。
建物概要
- フォルクス住宅システムA
- 敷地面積:254.86m2
- 延床面積:118.00m2(1F:70.00m2 2F:48.00m2)
茨城県真壁郡・黒田さんの家平面図(クリックで拡大:82KB)
家づくりと暮らし
「感じのいい家だね」。それが、フォルクスAとの出会いの第一印象でした。
自然豊かな茨城県真壁郡。この土地に、道なりに並行して建つほかの家とは異なり、南に向かって建てられている木づくりの家があります。黒田さんご夫妻のフォルクス住宅システムA(以下フォルクスA)の家です。
黒田さんが最初にフォルクスAと出会ったのは、家を建てるずっと以前、工務店のモデルハウスを通りかかった時のことでした。「感じのいい家だよね」。二人の中にはその家に対する好感触が残ったといいます。
さて、そんな二人が本格的に家づくりを考え始めたのは、長女がおなかに宿った頃でした。
「結婚以来暮らしていたマンションは結露やカビがひどく、壁紙が剥がれてしまうくらいでした。それで子どもができたのを機会に引っ越しを考えたのですが、せっかくなら“がんばって家を建ててしまおうか”って…」
南に向いて建てられた黒田さんのフォルクスAの家。
ともに転勤族の家庭で育ったお二人の希望は、庭付き一戸建ての木の家。そこで住宅展示場に足を運んでみますが、なかなか自分達の感性に合った家が見つかりません。「じゃあ、あそこに行ってみようか」。二人がたどり着いたのは、以前、好感触を持って見ていた、工務店のあのモデルハウスでした。そこで初めて黒田さんは、「感じのいい家」が“フォルクスA”というOMソーラーの家であることを知ります。
「最初は“OMソーラーって何だろう、本当に暖まるのかな”って半信半疑でした。それでも材をそのままあらわしで使っているところや、構造が単純明快で性能もしっかりしているところが気に入って、この家づくりに決めました。初めて家づくりをする僕たちにとって、プレファブリケーション、つまり工業化された住宅というのは、逆に取っ付きやすかったのですね。それにプレハブでありながら、自由度が高いということも決め手となりました」
こうして“同じ引っ越しをするぐらいなら持ち家を”と、走り出した二人ですが、30歳を過ぎたばかりのご夫妻のこと、「十分な資金があったわけではないので、話を進めていくうちに、“やはり手が届かないかなぁ”と、一度はOMを諦めようと思った時もありました」といいます。
それでも「どうしても諦めきれなかった」ご夫妻は、「どのみち借金をするのなら、借金のし甲斐のある家、自分たちが本当に気に入った家がいい」という思いから、OMソーラーの家づくりを実現させたのでした。

【左】庭の小さな畑では、奥様が丹精こめて育てたブロッコリーやラデッシュ、ほうれん草などが収穫される。「虫がたくさん来てくれる庭にしたい」と奥様。
【右】庭に設けられた小鳥の餌台。
土に返るものは土に返す。私の母も、そうしていました。
家の西側には西日対策として竹を植えている。夏は朝顔の蔓も日よけに。
「設計担当者の方といろいろ意見を交わし合いながら、結局一年がかりで設計を考えました」という黒田さんのフォルクスAの家は、2000年9月に完成。
「住んでからも自由に手を加えられるところに魅力を感じました」という黒田さんは、その言葉どおり、デッキや塀の塗装、生ごみ処理のためのミミズ箱などの製作、キッチンの棚やタオル掛け、娘さんの踏み台など、仕事の合間を縫ってせっせと汗を流しています。さらに、将来的にはこうしたいという未来のわが家が描かれた図面が用意されているそうで、現在4人家族の黒田さんの家は、お子さんの成長とともに、ますます変化を遂げていく模様です。
下屋の和室上部をベランダに。十分な広さがうれしい。
一方、子どもの頃から生き物が好きで、「虫や鳥が来てくれる家にしたい」と考えていた奥様は、「ガーデニングというのではなく、もっと自然のままに、雑木林のようにしたいんです」と庭いじりに奮闘中。植えていないはずの若木を見つけて、「鳥が種を落としていったものが芽を出したんでしょうね。多分、あれはエゴの木だと思いますよ」と、満面の笑顔を見せられます。
また、一坪ほどのかわいらしい畑でミニトマトやブロッコリー、ほうれん草など季節毎の収穫を楽しみ、生ゴミは庭に穴を掘って埋めているのだと言う奥様。「私の母もそうしていましたし、土に返るものは土に返してやるのが自然でしょう?」
家の中央に設けられた階段はOMの空気の通り道であり、また、部屋の仕切りの役目も果たす。
木の家づくりやその考え方、デザインが気に入った、それがたまたまフォルクスAだった、という黒田さん。この家で暮らすようになってから、居間に入り込む日差しで時を知ったり、家から臨む山の彩りから季節を知るようになるなど、自然を身近に感じるようになった、といいます。そして、「フォルクスAは、“足るを知る”“過ぎたるは及ばざるが如し”ということばの似合う、シンプルで美しい家だと思います。この家を生活の器として、自然とともに暮らしていければと思うのです。」

















