山口県玖珂郡・嶋田さん
2001年6月築
陽だまりのような温もりが、
こころとからだを、
ゆっくりと癒しながら、
心地良く解き放ってゆきます。
設計ファイル
シンプルになりがちな色調にポイントを入れ、引き締め効果。
家の中央に階段を配し、階段を中心にぐるりと周遊できる嶋田さんのOMソーラーの家。柱と床に国産のヒノキ材など、木がふんだんに使われることで、とかく単調になりがちな室内の色調を、階段に青、壁に白を使うことで色使いにポイントを添えています。
南側は当初すべて掃き出し窓にする計画でしたが、掃き出しはデッキに続く東側のみとし、残りを出窓にして下は収納に。座るのにちょうど良い高さなので椅子にもなるという、一石三鳥の使い方がされています。
2階の幅広のキャットウォークは洗濯物干し場として使用。共働きのご夫妻に代わって、家も家事の一端を担っています。冬は洗濯物が乾燥防止にも役立っています。

【左】仕切りをなくし吹き抜けを設けたことで開放感が生まれた。
【右】物干し場としてフル稼働しているキャットウォーク。
建物概要
- 在来木造2階建て
- 敷地面積:262.74m2
- 延床面積:99.28m2
(1F:57.76m2、2F:41.52m2)
家づくりと暮らし
冬を重ねていくうちに、気がつくと素足でいる自分がいました。
家の中央にある階段は子どもたちの楽しい遊び場となっている。
OMソーラーの家に暮らして6度目の春を迎えた嶋田さんご夫妻。ご結婚を機に家づくりに臨まれたご夫妻も、二人の子どもさんに恵まれ4人家族となりました。
新婚家庭から4人家族へと変化した嶋田さん。6年の歳月が流れるうちには、もう一つ大きな変化がありました。奥さまは実家にいた時は、就寝中もヒーターを点け、さらに靴下を重ね履きしないと足が冷たくて寝付けなかったといいます。冷え性で冬が大の苦手だったはずの奥さまが、今では素足で過ごしているというのです。
「私の寒がりは友達の間でも有名でした。インナーウェアなどの完全装備はもちろん、厚い靴下を二枚重ね、その上からサイズの大きな靴を履いていたので、みんなから『エスキモーみたい』と冷やかされていたんです」
ですから、家を建てる時にも「暖かい家を」という希望が第一にありました。さらには鼻炎で、「寝る時もティッシュを手放せない」という奥さまは、「化学物質を抑えた自然素材の家がいい」と考えていたといいます。
屋根にOMソーラーの集熱ガラスが載った嶋田邸外観。
そんな奥さまに知人が薦めたのが、OMソーラーの家でした。OMのことは「その時初めて知った」という奥さまでしたが、「冬、暖かいのなら」と、素直に薦めを受け入れたといいますから、それだけ冷え性は深刻な問題だったことが窺われます。
こうして2001年、柱と床に国産のヒノキを使うなど、ふんだんに木を使ったOMソーラーの家が完成したのですが、さて、ワクワクしながら迎えた最初の冬のことです。太陽のチカラによる陽だまりのような穏やかな温もりは、自他ともに認める寒がりの奥さまにとって、『期待どおり』というわけではありませんでした。機械による暖房に頼りきっていたそれまでの生活と比べると、ちょっと物足りないかなという戸惑いがあったといいます。
「正直に言って、最初は思っていたよりも暖かくないかもと思いました。実家にいた時はいろいろな暖房器具を使っても寒くて仕方がなく、窓にお風呂の蓋に使うアルミのマットで目張りするぐらいでしたから。そういう感覚が自分の中に残っていて、OMの穏やかな暖かさというのがピンと来なかったんですね」
暖房機器による直接暖房に慣れ親しんだ日本人にとって、OMソーラーの空気による低温暖房は、最初は少し物足りないと感じるかもしれません。けれども住んでいくほどに、次第にその穏やかな室内環境に、身体のほうが慣れていくのです。
奥さまも2年、3年と冬を重ねるうちに、気付くと素足でいる自分がいたといいます。「暖冬のせいもあるでしょうけれど、この冬は暖房なしでも最低気温が16度を切ったことがないんです。OMは家全体の温度差が少ない。半袖で過ごせるほどの過剰な暖かさはなくても、家の中で寒いと感じることもありません。寒暖の差がないということが、より暖かく感じさせてくれるのでしょうか」。
フルタイムで仕事をされている奥さまは、お子さんの幼稚園でお弁当がある日は、普段よりもずっと早起きをします。そんな時でも、「お布団から出るのが全然辛くない。起きるのが苦にならないのが主婦としていちばん嬉しい」と、最初の戸惑いはどこへやら。今ではOMを薦めてくれた知人に感謝なのだといいます。
もう「エスキモーみたい」なんて言わせません。
南側に設けられた出窓は椅子にもなり、下は収納にもなっている。
薦められるまではOMソーラーのことを知らなかった嶋田さんにとって、OMは予算外のものでした。それでも限られた予算の範囲内で、寒さに弱い奥さまの辛さが少しでも解消されるならと、OMの導入に理解を示したご主人。
「家づくりで大切なことは優先順位だと思うのです。決まった予算の中で、OMというプラスアルファをどう組み込むか。OMを優先するとなると、当初の計画は変更せざるをえません。でも考えようによっては、ほしいと思っていた和室も、どうしても必要だったからではなく、あればいいかなという程度のもので、どう使うかも決めていませんでした。だからまずは必要なものから組み、最初はコンパクトにしておいて、あとで必要になった時に増築するなりすればいいと、考え方を転換したんです」。
玄関は靴箱の下から暖気が出るようになっている。
プラスアルファのOMソーラーを組み込むために、計画の見直しを検討した嶋田さん。でもそのおかげで、より広くスペースを使うために、様々なアイデアが生まれました。仕切りや廊下を省く。大きな吹き抜けで開放感を出す。室内をぐるりと回れるようにし、動線に伸びを出す。こうして工夫を凝らすことによって、知恵を生かした家づくりが進められたのです。
奥さまはもう友達から「エスキモーみたい」、なんて言われることはありません。室内は素足で大丈夫。外出する時も靴下1枚で十分だといいます。暖房器具に依存していたそれまでの生活は、奥さまの身体だけでなく、心も縛り付けていたのかもしれません。
OMソーラーなればこその開放的な空間と、温度差の少ない室内空間がもたらす安心感が、そこに暮らす人の心をも解放してくれます。太陽の温もりに包まれて「寒さ」という束縛から解き放たれた奥さま。「本当にOMにして良かった。今、心からそう思っています」。

【左】太陽が降り注ぐデッキは大好きな遊び場でもある。
【右】すくすくと育つ二人の息子さん。


















