和歌山県西牟婁郡・小山さん

2005年4月築

どんな土地にでも、工夫次第で良い家は建ちます。

設計ファイル

厳しい敷地条件の中で採光、通風、空間を確保。

写真:和歌山県西牟婁郡・小山さんの家

小山さんの家が建つ敷地は、南北に細長く、三方を建物に囲まれています。そこで、採光と通風を確保するために、1階からロフトまで各階の空間は北側に集約し、南側のリビング上部をロフトまでの大きな吹き抜けとしました。片流れの屋根をかけてトップライトで光を採り入れ、空間をつなげることで風通しをよくしています。

リビングの南側にはウッドデッキを設け、通風、採光を得るとともに、高い板壁を貼って隣家からの視線を防ぎ、隣家に接している状態を感じさせません。

玄関から続く長い土間の東側には、買い物から帰ってすぐに収納できるよう、買い置きの生活用品などを置けるたっぷりとした収納スペースが設けられています。

写真:リビング吹き抜け 家の内部は北側に空間を重ね、南側のリビングの上は吹き抜けにした。

写真:手作りの収納棚 写真:キッチンカウンター
【左】手前は手づくりの収納棚。南側デッキより光と風を室内へ呼び込む。
【右】特注のステンレス製ハンガーラックが設けられたキッチンカウンター。

建物概要

  • 在来木造2階建て
  • 敷地面積:101.74m2
  • 延床面積:99.36m2
    (1F:46.37m2、2F:33.12m2、ロフト:19.87m2


和歌山県西牟婁郡・小山さんの家平面図(クリックで拡大)

家づくりと暮らし

太陽のちからを借りて、厳しい条件の土地に気持ちの良い家を建てました。

写真:小山さんの家外観 南北に細長く三方を囲まれた土地という厳しい条件の中で、小山さんの家づくりは始まった。

和歌山県の南部に位置する白浜町。海あり、山あり、川ありの美しい自然に恵まれた白浜町には、年間、町民人口の数十倍もの観光客が訪れるといいます。

そんな白浜町の古くからある住宅地の一画に、介護の仕事に携わる小山さんご家族の家があります。シルバーメタリックの外観が若々しい印象を与えるその家は、東にアパート、西に3階建ての家、南にも5メートル以上の高低差がある住宅、と三方を建物に囲まれた30坪ほどの敷地にありました。

南北に細長く、高い建物に囲まれた敷地は、家を建てるには条件の良い土地とは言い難く、採光、通風、プライバシー確保と、どの観点から見ても、厳しい条件ばかり。駐車スペースの確保と、道路斜線の緩和のため、北側の道路より車一台分後退して、敷地いっぱいに隣家と肩を寄せるように建てられた小山さんの家。しかし玄関から一歩入ると、そこには外からは想像できないような光景が広がっていました。

写真:すっきりとした玄関
シンプルなデザインの玄関スペース。片側壁面にはたっぷりとした収納が設けられている。

外観とは趣を異にして、内部は信州カラマツ材の床や、地元紀州材の柱や梁、珪藻土の壁など、自然素材がふんだんに用いられています。細長い土間の先にあるリビングにはロフトまで伸びる吹き抜けがあり、視線が上に伸びることで敷地の狭さを忘れてしまうほど広がりのある空間が生まれています。そしてその開放的な空間を、片流れの屋根がなだらかにつなぎ、勾配天井に設けられたトップライトから、明るい光が差し込んでいます。

本来なら、こうした敷地条件の場合、採光を考えると2階をリビングにし、1階は採光の必要度の少ない寝室などにするのが定石と考えられています。しかし、「以前アパートの3階に住んでいたとき、子どもを抱えて3階まで荷物を上げ下ろしするのがすごく大変だった」という奥さまは、その経験から「リビングはどうしても1階に」と希望。

写真:開放的な子供部屋 ロフトにある子ども部屋は将来仕切りを設けて分割も可能に。

そこで1階南側にリビングを設けるために、北側1階は水周り、2階は寝室、ロフトと空間を集約して重ね、リビングの上は吹き抜けにして大きな空間を造りました。そしてロフトから1階へと下りる片流れの屋根にトップライトを設け、明るさを確保するとともに、吹き抜けを媒体として空間を連続させることで、風の流れも生み出しています。

この大きな吹き抜けこそ、OMソーラーならではの空間です。床下に蓄えた太陽の熱を、空気に乗せて家全体に回すことで心地よい全室暖房を可能にするOMソーラー。「顔が火照るような暖房が苦手だった」という奥さまにとって、心地よい日だまりのようなOMソーラーの温もりは、願ってもない温熱環境となりました。

その土地を正しく読み取り、知恵と工夫で土地にあった家づくりに取り組む地域工務店。その土地の気候条件のもとで自然エネルギーを最大限に活かす、OMソーラー。この両者が重なって、厳しい条件の中でも気持ちの良い小山さんのOMソーラーの家が誕生しました。

OMのシステムよりも、その暖かさが感覚的にぴったりと合っていたから。

写真:明るいリビング 片流れの屋根に設けられたトップライトから明るさを取り込んでいるリビング。

OMソーラーの家に暮らして1年が過ぎ、初めての冬もほとんどOMソーラー以外の暖房は使わなかったという小山さんご夫妻。

「夜遅く帰ったとき、家族を起こしてはかわいそうだと思い、2階の寝室には上がらず、リビングで寝てしまった」と言う小山さんは、「暖かくてすごく気持ちがよく、朝までぐっすりでした」とOMによる床暖房の心地よさを実感。

お子さんも、床にごろごろ寝転ぶのが大好きなのだとか。そんなお子さんの様子を、「新建材でなく、本物の木の良さを子どもに肌で教えることができてよかった」と、小山さんは目を細めながら見つめます。

ところでお話を伺うと、小山さんご夫妻は、それまで「特別に環境問題に興味があったわけではなかった」といいます。また「OMソーラーのシステムに強く惹かれたわけでもなかった」とも。「僕たちはOMソーラーのシステムがどうこうというよりも、OMのモデルハウスで体感した“ほんのりとした暖かさ”が、自分たちの感覚にぴったりきたから」と、自分たちが心地よいと感じる「皮膚感覚がOMを引き寄せた」とさらりというご夫妻。

写真:ウッドデッキ 写真:洗面カウンター
【左】様々な鉢植が育てられているウッドデッキ。ご家族の憩いの場。
【右】モザイクタイルを使った、すっきりとしたデザインの洗面カウンター。

写真:ブランコ 2階ホールの梁にはおじいちゃん手づくりのブランコが掛けられている。

ご両親から提供された土地。それは家づくりにとって条件の厳しい土地でした。しかし若いご夫妻は、精一杯『気持ちの良い家』を建てようと思いを積み重ね、その先にあったのが、地域工務店と建てるOMソーラーの家でした。

「環境に貢献しよう」とか「ランニングコストの削減を図ろう」とか、そうした意図よりも、むしろ「太陽の日だまりのような暖かさが心地よかったから」、「条件の悪さをカバーし、工夫することで気持ちの良い家を建ててくれるのが、地域工務店だったから」、というのが正直な理由です。

写真:二人のお子さま
この夏生まれたばかりの妹を抱っこするお姉ちゃん。

そして今、家族みんなが気持ちよく満足して暮らしていること、それが何より自分たちの選択に間違いがなかったことを証明しています。小山さんのOMソーラーの家は、たとえどのような場所でも、どのような条件でも、知恵と工夫次第で良い家が生まれるのだということを、教えてくれているのです。