〔コラム〕 暑い家、暑くない家

夏に高温多湿となる日本では、古くから「夏を旨とする」家づくりが基本でした。OMソーラーは、OMソーラーのシステム以外の「夏を過ごしやすくする」工夫についても大切に考えています。

同じ場所でも、「暑い家」になったり「暑くない家」になったりするのはなぜでしょう?ここでは、「風通し」「日射をさえぎる」「住まい方の工夫」の3つのキーワードに分けてご紹介します。

風通し

風通し

暑さをしのぐための最も身近な方法が、「通風」です。「通風」とは、文字通り、窓を開けて建物の中に風を通すこと です。こうした自然の風が心地よいのは、強く吹いたり弱くなったりという、変動するリズムをもった微風であることが大きいと言われています。

風を取り込むには、入り口と出口が必要です。また、窓の配置によって効果が大きく影響されますので、設計段階で十分検討する必要があります。また、風の吹き方には地域性があるため、その地域の風の特性に合わせた窓の配置計画も重要です。

効果的な通風を計画するには、下記のようないくつかのポイントがあります。設計者は、構造とのバランスを考慮しながら窓の配置を検討することになります。

  • 南北に風が抜ける道をつくります。風を上手に取り込むには、入口だけでなく出口も必要です。

  • 風が通る道を東西にも設けます。東西に抜けると風量は約4割も増えます。

  • 風が入ってくる方角の窓と対角線上にある窓も開け、空気の淀みをつくらないようにします。

  • 低い位置と高い位置に窓を配置します。大きな窓がなくても高さの違う窓があれば、温かい空気は上昇する性質があるため、緩やかですが風が吹いたのと同じような効果があります。

  • 左の具体例の一つとして天窓を設けるのも一案。天窓によって風量は約2割ほど増えます。

日射をさえぎる

「暑くない家」にするためには、日射遮蔽(しゃへい)や西日対策の工夫が欠かせません。落葉樹やつる植物などの緑のスクリーン、すだれの利用などがあげられます。

外部でさえぎる、簾(すだれ)の効用

外部でさえぎる、簾(すだれ)の効用

ガラスだけでは日射熱の約80%が室内に入射するのに対し、窓の外側にブラインドを付けた場合は逆に80%近くの日射を遮蔽するというデータがあります。しかし、同じブラインドでも室内側に取り付けた場合は、ガラスを透過した日射によりブラインドそのものの温度が上がるため、その熱が室内に放散され結果的に50%程度の遮蔽効果しか得ることができません。熱の進入 を防ぐには、内部より外部でさえぎるのが効果的です。

室内へ熱が侵入してくる窓の日射遮蔽は、室内側ではなく、外部でさえぎる方が高い効果が得られます。

内側ブラインドでは、日射熱の半分以上が室内に侵入しています。特に、断熱機密性能の高い住宅においては、室内が一旦温まると冷めにくいため、開口部から室内へ入る熱をしっかり遮断することが肝心です。

窓の外側で日射をさえぎる昔ながらの知恵、簾(すだれ)は、断熱効果が高いのです。

外部でさえぎる、簾(すだれ)の効用

外部でさえぎる、簾(すだれ)の効用

落葉樹は、夏は 葉を茂らせて日差しをさえぎり、葉の落ちた冬には、室内に陽が差し込むようにしてくれます。あるデータでは、よく茂った落葉広葉樹は、春から夏にかけて、日差しの約90%を遮ることを示しています。
植栽計画がいかに「暑くない家」にするために重要かがわかります。

外部でさえぎる、簾(すだれ)の効用

また、 日差しが高い南側と、低い東西側など、方位によって適している樹種は違います。
植栽は、心落ち着き、視覚的にも美しいだけでなく、日射対策を考えて計画することが大切です。

方位別に適した樹木とその一例

  • 南面に適した樹木

    南面に適した樹木

    【樹種例】

    ケヤキ、コナラ、ハナミズキ、ヤマボウシなど

    【樹木の条件】

    茂りが密であること。 下枝が上がり、足元に枝がないこと。 強い陽射しに耐えられること。 冬に葉を落とすこと

    【樹木の選択基準】

    下枝が2m以上まで上がっていること。 1階の庇よりやや高い、3~4mの高さがあること。 葉張りは、1.8m~2mくらい。

  • 東西面に適した樹木

    東西面に適した樹木

    【樹種例】

    アカシデ、ヤマモミジ、エゴノキなど

    【樹木の条件】

    低い角度からの熱線に強いこと。 下枝が多いこと

    【樹木の選択基準】

    枝が二重三重に茂っている。 高さ3~4mの樹。

住まい方の工夫

まだクーラーがなかった時代、私たち日本人の誰もが打ち水や浴衣など、夏の暮らしを工夫してきました。設備(エネルギー)を使う前に、まずはこうした昔ながらの工夫をもう一度見直してみたいと思います。こうした工夫が現代でも生きているのは、きっと「心地いい」からに違いありません。

水を活用する

水を活用する

打ち水や、素焼きの瓶に水を張るなど。水が蒸発する際の気化熱で、熱が奪われることを利用します。

衣服で涼む

衣服で涼む

浴衣や甚平など、風通しの良い衣服は汗が乾きやすく、気化熱で熱が奪われやすいのが特長。

耳で涼む

耳で涼む

軒先や窓辺につるした風鈴の音色。川のせせらぎ。

食で涼む

食で涼む

かき氷や冷えた西瓜。

風を生む

風を生む

うちわや扇子。

目で涼む

目で涼む

花火やほおずき、朝顔など

まとめ

夏の工夫について、3つに分けて紹介しましたが、これらのことが実践されているかどうかで、同じ場所、同じ建物の性能であっても、快適さには大きな差が生じるでしょう。結果的に、消費するエネルギーの量もずいぶん変わってくるはずです。なにより、工夫することがおもしろく、それによって得られた快適さこそ「心地いい」と感じられるのだと思います。

最後に、暑い家と暑くない家を比べてみました。この中には、家づくりを進める設計段階で考えておく必要があるものと、暮らしの中で実行することが暑さ防止に繋がるものの両方があります。

「暑い家」と「暑くない家」の違い (下図数字と対応しています)

キーワード 暑い家 暑くない家
風通し (1) 風が通り抜けない窓の配置と室内空間の構成。 (1) 風が通り抜ける窓の配置と室内空間の構成。
(2) 室内に熱気がこもる。 (2) 室内に溜まる熱気は、高いところから抜く。
(3) 通風や換気を行う習慣がなくなっている。 (3) 夜間は、通風と換気で室温を下げる。窓を閉める時は、OMソーラーのしくみを活用。夜間外気取り込みで、夜の外気を取り込み、換気を行う。
日射をさえぎる (4) 開口部の内側で日射をさえぎる。 (4) 開口部の外側で日射をさえぎる。
(5) 白っぽいコンクリートや木面などは照り返しが大きい。 (5) 日射の照り返しを小さくする。
(6) 断熱材による屋根や壁の日射遮蔽(通気層、日陰にする工夫がない)は、侵入熱が小さいながらも、暑いほどの自然室温になりやすい。また、熱が伝わりにくい木材や断熱材は、一度温まると、なかなか冷めない特性を持っている。 (6) 日射が強い屋根は、OMソーラーを活用。熱い空気をお湯採りに使い、余った熱を屋外へ排気。
エアコン (7) エアコンに頼り、通風を活用しない。 (7) 扇風機などを積極的に活用する。
(8) 衣服の素材や形に無頓着。 (8) 衣服は、通気性がよく、汗が蒸発しやすいものを。
「暑い家」と「暑くない家」

「暑い家」と「暑くない家」